Unlimitedに上機嫌

「お金はかけずに学びたい」をコンセプトに、年間300冊を読む無職がPrimeReading対象本を紹介するブログです。

経済とは何ぞや?

「経済ってなに?」

何度も自問するたびに、分かったような分からないようでいた疑問。「永遠のテーマ」と位置付けてきたところに、「経済の9割は、たった一つの図で分かる」と主張する本に出会った。

本書を読み終わって抱く感想は、「まじやん」である。本当にたった1つの図で、経済の9割を説明できそうな気がする。実際にできるわけではなく、できそうな気がするというのがポイントだ。「たった1つの図」とは、誰もが見たことがあるこちらの曲線。

出典:アレコレ

赤は需要曲線と呼ばれ「買いたい」を示し、青は供給曲線と呼ばれ「売りたい」を示す。赤線と青線が交わる点を「均衡点」と呼ぶらしい。正直、呼び名はどうでもいい。ちょっとモノを知っていると思われるだけで、重要なのは「使えること」。高橋さんも本書で繰り返し、経済的な専門知識の99%は要らないと書いている。必要なのは、需給関係。「買いたい」と「売りたい」の関係によって値段が決まる。それが、経済。だから、需給関係を図式化した上の曲線を理解すれば、経済の9割が理解できる。

こういうのは、事例とともに考えるのが良い。本書にもある、「牛丼とラーメン屋は、どちらが値上げしやすいか?」という例題。人々が牛丼に求めるものは何か。「安さ」。相当なグルメじゃない限り、目隠しされた状態で「吉野家」「すき家」「松屋」の牛丼を当てられる人はいないだろう。牛丼チェーンは「安さ」が決め手だと分かっているから、結果どこの店も大体値段は変わらない。これを需要曲線にすると、以下のようになる。

牛丼の需要曲線

もし、1杯400円で売っていたとして、500円に値上げしたらどうなるか?

牛丼を100円値上げした場合

数字はイメージだが、100円値上げしただけなのに、量は1000杯から500杯に半減してしまう。これを売上に換算すると、値上げ前は400(円)×1000(杯)=40万円。値上げ後は500(円)×500(杯)=25万円。たった100円値上げしただけなのに、売上は15万円減、率にして37.5%のマイナス。これが12カ月続くとすれば、180万円の減収。デカすぎる。

対する、ラーメン屋。自分はそうではないが、ラーメン好きの知人に聞いた話では店によって全然違うらしい。人気店ともなると、連日開店前から行列ができる。このことからも、人々がラーメンに求めるのは「味」。一日に提供できる量は限られているので、需要曲線は以下のようになる。

ほぼ垂直の直線になる。もし、1杯700円から1000円に値上げしたらどうなるか?

ラーメンを300円値上げしたら

量は、100杯から90杯に減った。減少率としては10%。売上比較すると、「700(円)×100(杯)=7万円」VS「1000(円)×90(杯)=9万円」。値上げするとしたことで売上が増えた。ただ、値上げした背景には、原材料の高騰などがあるから、「売上増加=ハッピー」とは限らない。しかし、100円値上げしただけで大幅に売上減少した牛丼に比べれば、ネガティブな印象はない。

値段や数量は勝手に決めたもの、店によって影響度合いは変わるが、一般的に「牛丼よりもラーメン屋の方が値上げしやすい」と言える。ラーメンや牛丼以外にも、値段がついている全てのものは、それぞれ需要曲線に特徴がある。これを「価格弾力性」と言い、牛丼のように「値段しにくい」ものを「価格弾力性が高い」と言う。

「価格弾力性が高い」もの

  • 嗜好品
  • 大衆向けの商品

「価格弾力性が低い」もの

  • 必需品
  • オリジナリティのある商品

売り手(企業)としては、自分たちが売りたい値段で売れる商品でビジネスするために、日夜商品開発を行う。「豚のエサ」と揶揄されることの多い「二郎系ラーメン」も、「あれ以外考えられない!」と思ってくれるファンがいるオリジナリティのある商品なのだ。