Unlimitedに上機嫌

「お金はかけずに学びたい」をコンセプトに、年間300冊を読む無職がPrimeReading対象本を紹介するブログです。

あなたの「軸足」は何ですか?

毎週楽しみにしている「東京ポッド許可局」。今週のテーマは、分からないと言えないこと。サンキュータツオが、落語って分からないと言えない典型例という発言から話はスタート。一時期落語を聞いていたことがあって、寄席ではないから別に誰に見られるわけではないが、確かに分からないと言えない感じはあった。

マキタスポーツは、訳わからないなりにいろんなものを見る重要性について話していた。誰かに紹介されたものでも、AIがおすすめしてくれたものをとりあえず見てみる。最初はよく分からないかもしれないが、理解しようと見ているうちに少しずつ「これってこういうことじゃない?」と引っ掛かるものが出てくる。そうした引っ掛かりが1つでもあれば価値があったと言える。そして、その引っ掛かりを自分の興味のある分野「軸足」と重ねてみたらもっと面白い。落語も型通りに理解しようとすると、小難しくて分からないもので終わってしまう。アニメが好きなら、落語のこの部分があの作品に似てる気がするって感じられるものが見つかる。

この話は、なぜ人は学び続けるかについての答えであるように感じた。また、ここに出てくる「軸足」は、自分がずっと考えてきたテーマでもある。自分には「軸足」と呼べる、ホームグラウンドがない。何にでも興味を持つし、何でもそれなりに楽しめることはできる。しかし、いつも「それなり」で、そのことをコンプレックスだと考えてきた。そして、いまも自分のいま一つパッとしない原因だと考えている。

自分が尊敬したり魅力される人たちは、どの人も「軸足」を持っている。この番組の3人もそれぞれ、音楽、言語、新聞という軸足を持っている。だから、どんなテーマでも「音楽の話でいうとね」や「それって、国語的に言えば」などと議論に参加することができる。基本何でも書くようにとしているが、政治ネタは書かない。どの話題も「人間って愚かだよね」的な結論に帰着するから面白くなさそうというのもあるが、よく知りもなしないから好き勝手言いたくないという躊躇いが根本にある。質はともかくとして、ヤフーニュースやTwitterで政治家やニュース記事にコメントできる人がある羨ましい。どんな内容も主張できている時点で、彼らの方が上だと考えがある。

普段は芸人のラジオを聴いている。ほとんどの番組で、ニュース冒頭に今週のニュースや時事ネタについて話す。彼らは、どんなテーマがきても面白おかしく話す。芸人という立場を利用して無茶苦茶なことを言ったりするが、どんな話題でも面白くできるのは彼らが軸足を持っているからではないかなと思う。ピースの又吉は、サッカーや太宰治に引っ張って誰も傷つかない笑いを生み出す。また、物知りだとされているタモリ伊集院光マツコ・デラックスなどを見ていると、しっかりとした軸足があるからより博識になっていると感じる。その人の面白さや価値は、知っているものの量で決まらないが軸足の確かさはキーポイントだと思う。

どうすれば、自分の軸足を見つけることができるか。芸能人を見聞きしている感じでは、ついついやってしまうことやそれなしでは生きられないことを軸足だと言えそうだ。中川家の礼二は、お金を持った今でも未だに在来線に乗って移動する。便利さや人にバレなさを考えればタクシーで移動してもいいのに、車両や車掌の動きを見たくて見てしまうらしい。彼の場合、モノ真似やコントとして金銭価値に転換している仕事の一環ともいえるが、自分にはそうした人生の一部と言えるようなものがない。一時期起きてから必ず読んでいた本やたまに見返したくなるアニメや映画はあるが、どんな話題でもその話をしてしまうほどのものではない。

ここまで書いていて、趣味の話と似ているかもしれないと感じた。中川家の礼二も、冒頭に挙げたラジオパーソナリティも、みんな軸足と趣味が一致している。しかし、趣味と軸足は似ているようで違う。趣味は暇をつぶす手段で、軸足は価値を生む手段であるからだ。趣味は映画鑑賞と答える全ての人が、どんな話題でも映画を軸に意見を作って発信できるとは限らない。ただトレンドの人気作を抑えているだけかもしれないし、ただ年間100本漫然と映画を見ているだけかもしれない。「知っている」と「語れる」との間には大きな距離があって、軸足はその人の核やアイデンティティに近いものと言えるかもしれない。

結局、軸足ほしいな~に終始してしまった。これからも軸足に憧れ、軸足を探し続けるだろう。しかし、自分にも軸足には及ばないがいくつかのにょきっと生えた足はあるはずだ。それらが将来立派な軸足になるのか、一生頭をちょっと出して終わるのかは分からないが、これからも好奇心に従っていろいろなものを見て感じたままに書くことだけは続けたいと思う。