Unlimitedに上機嫌

「お金はかけずに学びたい」をコンセプトに、年間300冊を読む無職がPrimeReading対象本を紹介するブログです。

もし、明治人が令和時代を生きるとしたら。

 「無職とPrimeReading→Unlimiteed」を名乗っていながら、約4か月ぶりの本紹介。

 4カ月も”本業”をそっちのけにしておきながら、Prime本に限定して紹介するどうてもいいプライド。明日の読書会に向けて、「新書×Unlimiteed」で真っ先に挙がったのでダウンロード。

 読む前に、「明治」で思いつくキーワードをメモする。文明開化、侍が死んだ、政府の樹立、チョコレート、紙幣と硬貨、民主主義....。誰にも見られていないものなのに、所々で知的アピールをするあたりが自分らしい。歴史が好きでも嫌いでもない自分が、明治時代を一言でまとめるなら、「変化の時代」。200年以上続いた”THE日本”な江戸から、世界に認知されるようになったジャパンへの転換点。現代人が江戸にタイムスリップしたら別の国だと思うだろうが、明治であれば今の日本と地続きになっているという感想を抱くと思う。

 タイトルにある「生きづらい明治社会」とは、弱者にとって生きづらい社会だったということ。明治時代は、表向き身分制度が撤廃された時代。鎖国も終わって国際社会にも参加し、国としてどんどん豊かになっていこうやとなっていた時代。明治の頃の「国の豊かさ」は、今と同じ経済的な豊かさ。みんながいっぱい働いて、便利なモノがあふれて、余暇とかも充実している社会。働けば誰でも豊かになれる可能性がある時代は、言い換えれば経済格差がハッキリした時代でもあった。名前だけで始まったこと、日清・日露戦争という戦争続きで莫大なカネが必要だったことから、明治政府は金がなかった。あったんだろうけど、使い道は国が強くなることに集中していた。

 この本で「わな」と表現されるのは、「働けば誰でも豊かになれる社会。平等にチャンスがあるのに、貧しいのは当人の実力不足。そんなクズには、お金使ってあげませんよ」という空気。今風の言葉でいえば、実力主義。明治に生きる人たちは、この「わな」に引っ掛って死に物狂いで働いた。貧しい人を見ると、「あの人は努力が出来ないクズだから」と軽蔑した。病気で働くことができないなどの理由は見ることはなく、政府からも社会からも見放された。

 読み終わってから、漠然と思ったのは令和の日本と似ているなということ。今の日本には、「実力主義」と「プライベートの充実」の2つの大きな空気が流れていると思う。ある日突然大規模なリストラが敢行される外国に比べればましなんだろうけど、上場企業ではハッキリとした大量解雇は行われている。「実力」という脅し文句が協調される一方で、「働くだけが人生ではありません」という主張も存在する。いつされるか分からないリストラ勧告に怯える人がいる一方で、毎週末キャンプに興じる人がいる社会。こんな感じで、明治時代と令和時代の生きづらさには、割と共通するところがあるのではないのかなと感じた。

 では、明治時代を生きた人が令和時代にタイムスリップしたら、どんな人生を送るだろうか。今回は、明治時代に失敗した人になりきって、今の時代を生き抜くスタンスを考えてみたい。

 明治人は、自分で稼げるようになることを目指すと思う。頑張って働けば一定の豊かさは保証されるとういベースは両時代とも同じ。でも、令和には自分で稼ぐということができる。国営企業の従業員として稼ぐしかなかった明治時代と違って、今は身一つで稼ぐことができる時代。やった分だけ成果につながるという、ビジネスの本質はどの時代も変わらない。つまり、豊かさを手にするには人より時間と量をこなせばいいということになる。勤勉、勤労が美徳とされた明治と違い、令和では限られた時間で最大の価値を出すことが善しとされる。残業しないと成果を出せない人は、いまの時代雇いたくない。だが、質とは一定の量をこなして変化するもの。公式では「いっぱいやれ」とは言えない。となると、自分の時間をつかってやるしかない。結局、令和で成功するためには、人よりたくさん仕事をするという結論に至る。ただ、職種によってはできないものが有ったりするので、明治人が職業選択するなら「プライベートで量をこなせる」仕事を選ぶと思う。

 明治人をタイムスリップさせる、なんて大それたことを書いたけど、めっちゃあたり前の真理に行きついた。たぶん、令和の人がその先の未来にいっても、「もっと本気でやればよかった」みたいなアドバイスをくれると思うから、どの時代でも成功を手にする方法は変わらないと思う。一つ明治時代とは違うのは、令和の政府は弱者にも手を差し伸べる余裕はあることぐらい。病気やケガで働けなくなっても、最低限の生活保障は受けられるし、明治ほど「働けなくなったらゲームオーバー」な時代ではない。とは言え、「何となくみんなと同じに働いていても一向に豊かになれない」厳しさはあるんだけど。