Unlimitedに上機嫌

「お金はかけずに学びたい」をコンセプトに、年間300冊を読む無職がPrimeReading対象本を紹介するブログです。

コンプレックスは、嘘つきの始まり。

いくつかのコンプレックがある。

27歳にしては髪が薄いこと、3回はトイレに起きる頻尿であること、自分の”モノ”がいつまでもクレヨンしんちゃんサイズであること。

精神的なもので言うと、海外に行ったことがないがNo.1だ。学生時代から少なく見積もっても1000回「海外行ったことある?」と聞かれてきた。心が荒んでいなかった幼少期は、「ない!いったみたい!」と答えていたと思う。だが、成人を迎えて以降、特に好きな女性に聞かれたときは、「ないかな。でも、3歳の時にハワイに行ったことあるらしい」と嘘をつくようになった。父親は経営者で、しょっちゅう海外出張に行っていた。毎回いろんなお土産を買ってきてくれたから、キーホルダーや外貨を大量に持っていた。そうした保有エピソードを、いつの間にか海外に行ったことがあるという事実にすり替え始めた。自分自身でも気づかないほど巧妙に。嘘つきには強烈に共感いただけると思うが、一度嘘をつくと引き返せない。誰についたのか覚えていないので、自覚した瞬間から、自分は「海外渡航経験あり」を仲間入りさせるしかない。生涯を共にしようと考えているパートナーにも、この嘘をつき通している。

2年前、嘘を現実に変えるチャンスが訪れた。台湾への大学の卒業旅行だ。決して胸を張って「海外旅行した」と言えるわけではないが、台湾は紛れもなく海外だ。なぜなら、台湾に行くためにパスポートが必要で決して安くないお金をかけて作った。ホテルも飛行機、旅程もすべて万端な常態で臨んだ初の海外旅行。結論から言おう。中止した。例のウイルスのせいで。計画していた2020年3月は、コロナ元年にあたる凶年。一緒に行く連れがなかなか決断できないことにより、まあまあな額のキャンセル料を支払った。ちゃんとキャンセル料を支払ってくれた「優良潜在顧客」と認められたおかげか、2年以上経った今も旅行会社から定期的なメールが届く。

この世の誰も認めてくれないと思うが、自分は海外に行ったことがある。現地に行ったことがある、どの日本人よりも台湾について詳しかった時期がある。貧乏なバックパッカーよりも多額のお金を台湾に落とした過去がある。現地でスマホをなくしたどの旅行客よりも、スマホのストレージには台湾関連の画像が保存されている。そう、自分は台湾に、海外に行ったことがあるんだ。

その事件以降、自分は嘘をつかなくなった。「海外に行ったことないけど、台湾には計り知れない思い入れがある」と、鉄板トークを身につけた。