Unlimitedに上機嫌

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人生で一番古い記憶は、暗くてホコリっぽい用具室

お題「人生で一番古い記憶」

保育園年長の運動会が、人生最古の記憶。会場は保育園の隣にある中学校。天井も広さもいつも見る遊戯室よりも大きくて、口をポカンと開けて茫然と見渡していたのを覚えている。7年後にその中学に通うことになるとは知らずに、全面に万国旗が飾られていて会場に飲まれそうになっていた。親と一緒に来ていたと思うが、なぜか一人でバスケットボールが格納されている部屋に入ったのを覚えている。緊張していることを隠したかったのか、ホコリっぽい暗い空間は落ち着いた。小学生の兄と姉はスポ少でバレーボールをしていたので、その頃から体育館の用具室には慣れていた。人生でいろんな用具室に入ってきたが、どこも大体同じ臭いが漂っている。ボールのゴムの香りや掃除用具のホコリの臭いは、不思議と心を静めてくれる。小学校になって入った体罰の横行するスポ少でも、中学校の球技大会でも、緊張しいな自分を用具室はいつも変わらず落ち着かせてくれた。

自分は運動ができると初めて自覚したのも、年長の運動会だったと思う。トリを飾るリレーではアンカーを務めて一番でゴールしたと思う。思い出補正がかかっている可能性は、十分にあるが。5歳児ながら、アンカーを任される重みを自覚していた。自分は足が速いという自意識と、チームの勝利を背負っているという自覚が既にあったのだろう。以後、中学生に上がるまで競争の場では、同様のプレッシャーを感じ続けていた。「勝ちなさいよ」と言われたことは、たった一度しかない。小学3年生の時のマラソン大会で、見に来てくれたばあちゃんに言われた。彼女が個人的に嫌っている、当時自分と一位を争っていたライバルに対して、「あの子には負けちゃいけない」とハッキリと伝えられた。あいつに負けないってことは、一位になれってことじゃんとつっこむ余裕もなく、緊張から来る腹痛が悪化するのを覚えている。

緊張について、先日聴いたラジオのパーソナリティがこう言っていた。「緊張は過度な期待から来るもの。また、緊張は他社との関係性において生まれるもの。緊張しない状態を作ることはできないが、自分は緊張していると誰かに伝えることで和らげることはできる。緊張していると伝えられた時、人は往々にして優しくなる」、と。最も古い記憶をたどっても、これまで誰かに緊張していると伝えたことがない。むしろ、緊張を悟られることを何より恐れていた。だから、5歳児にながら一人になれる暗い用具室に入ったりしたのだ。

他者と関わる機会がほとんどなかった去年は、緊張することもなかった。今年は、緊張するであろうイベントを1つ控えている。緊張することを共有するのは相応しくない性質のものだが、弱い自分を見てもらうという意味も込めて伝えてみるのもいいなと考えている。「いまとても緊張しているんだ」から始まる××。用具室はもう不要かもしれない。