Unlimitedに上機嫌

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「Amazon Unlimited」で読めるコミックエッセイ5選

最近コミックエッセイにハマっている。12月だけでも、12ものコミックエッセイをダウンロードしている。自分は、漫画が苦手だ。文字と絵、どちらに集中すれば良いのか分からなくなる。しかし、コミックエッセイはすんなりと楽しめる。批判を覚悟で言うが、集中しなくても良いレベルの画だからだと思う。あまりにレベルの高い画で埋められている漫画を見ると緊張してしまう。見逃さまいとする意識が働くので、文字に集中できない。コミックエッセイにはそうしたプレッシャーがない。コミックエッセイは漫画より下だと言っているのではない。コミックエッセイには、活字と漫画の2つを融合した独特な魅力があるのだ。

今回は、Amazon Unlimitedで読めるコミックエッセイを5作品紹介する。

第5位 『妄想猫観察』迷子

猫を含め、動物が苦手だ。見ているのは可愛いが、手に触れられる距離に近づかれると脅威でしかない。ペットを飼う人は、例外なく「うちの子が世界で一番可愛い」と主張する。この著書からも、同様の主張が繰り返される。

絵も魅力的だが、各章に書かれているコラムが素晴らしい。猫の謎多き生態を伝えるだけでなく、著者の猫のパーソナリティが伝わってくる。Twitterやブログでは、多くの人が愛犬や愛猫の写真を投稿する。ヴィジュアル的にも癒されるのだが、その個体がもつ独自性を伝えてくれる記事は読みごたえがある。このコミックエッセイは、全体と個体の魅力を描いた楽しめる作品。

第4位 『スラム団地』松田奈緒子

タイトルからどんな怖い話が....と思ったが、著者が経験した団地での日々を描いた明るい物語だった。親から直接言われたことはないが、子供の中でも「団地の子」と区別していたと思う。確認していないが、片親が多くあまり経済的に余裕がないイメージを持っていた。

だが、団地の生徒だけで集団登校の班が出来るほど人口は多かったし、彼らしかない絆というか仲間意識が羨ましくもあった。学校で流行った遊びは、「団地の子」発案のものが多かったように思う。ブランコで幅跳び的な遊び方をしたのも、グラウンドの向こうにある丘に秘密基地を作ったのも、団地出身者の誰かが言い出していた気がする。団地という広いフィールドとアイディアを形にする仲間たちが身近にいる「団地の子」は、社会性に富んだ恵まれた子だったりするのかもしれない。

第3位 『なんびょうにっき』さとうみゆき

10万人に1人の難病「成人スティル病」にかかった実体験をもとに書かれたエッセイ。名前も知らない病気だが、高熱や嘔吐、腫れなどめちゃちゃ恐ろしい症状がてんこ盛り。母親と2人暮らしのフリーライターという不安定な職業も相まって、読んでるこっちが「積んだ」と感じる怒涛の生活を克明に記録されている。

難病と闘う中に明るいニュースもあって、1人で暮らす母親の痴呆症が改善され、見舞いに来るたびに若々しくなるというもの。誰かに看られているからボケや老化の進行を速めているのかも知れないという、介護の観点からも示唆を与えてくれる。

第2位 『丁寧な暮らしをする餓鬼』塵芥居士

コミックエッセイでなければ絶対に読もうとしなかった本。鳥獣戯画調というのか、かなりクセのあるタッチ。そして、それを凌駕する餓鬼を主人公に据える設定。「キレイで親しみやすい」という近年のトレンドの真逆を行く、異色の1冊。

この本を読んで、ミニマリズムを実践する生物として餓鬼ほど適役なものはいないと感じた。ほんの些細なひと手間を施す餓鬼には常に悲壮感と慎ましさが漂う。コーヒーを自分で淹れようと悪戦苦闘する姿は、つい応援したくなる。また、マイペースを決め込む猫との同棲生活というのも良い。心配性の餓鬼とひたすらに我が道を行く猫。日常的なさまざまなシーンで、2人の対照的なパーソナリティが調和しているのが笑える。

また、各章の末尾にある、餓鬼にまつわるコラムも面白い。前半の学術的な説明はシンプルで読みやすく、後半では必ず「ガッキー」に触れる。忌み嫌われる餓鬼と対極にいる国民的女優を対比して、それぞれの生態をシニカルに説明する。

第1位 『フリースタイル家族』ツボウチさん

これまで読んできたコミックエッセイ史上最も面白い。内容は、父母息子3人家族の日常。誰もが「あるある」とうなずきたくなる日常的なシーンをコミカルに、時にシニカルに描く。

著者がTwitterで有名になっただけあって、育児や家事の疑問はツイッタラーに聞くという姿勢が絶妙。女性であれば妻心を理解しない旦那への共感を感じるだろうし、男性であれば女性の本音を垣間見ることができる。自分は独身男性なので、将来の夫婦生活や育児に備えてメモを取りながら読ませていただいている。

「日常をオモロク描く」という、まさにコミックエッセイが持つ面白さが凝縮された一冊。