Unlimitedに上機嫌

「お金はかけずに学びたい」をコンセプトに、年間300冊を読む無職がPrimeReading対象本を紹介するブログです。

PrimeVideo『RUN/ラン』の感想

2023年が始まってまだ2週間しか経っていないが、何だかんだ10本ほど映画を見ている。その中でダントツに面白く、2023年が終わっても3本の指には入る作品に出会った。

RUN/ラン(字幕版)

RUN/ラン(字幕版)

  • パット・ヒーリー
Amazon

パッケージだけで判断すると、『レディバード』と『ゴーンガール』を足して2で割ったような印象。

あるところに、少女がいた。歳は18ぐらいで、ワシントン大学の入試結果を心待ちにしていた。彼女は足が不自由で、基本家から出ない。スマホを持たされておらず、外部と連絡を取るのは一緒に住む母親のみ。ある日、母親が持って帰ってきた買い物袋を覗く。そこには、母親の名前が書かれた薬があり、なぜ自分用の薬に母親の名前が書かれているのか疑問に思う。あの手この手を尽くし、その薬は動物用の薬で、人間が服用するとマヒを引き起こすことを知る。なぜ、母親は娘から体の自由を奪ったのか。そこには、歪んだ愛が隠されていた。

埋められない男女差

結婚を約束しているパートナーとたまに子どもについて話すことがある。「子どもが欲しいか?」という質問から始まることが多く、それに対する答えはいつも違う視点から出てくることに興味深さを感じる。命を宿す経験をしたい彼女と、成長した子供といろんなことをしたい自分。この作品を含めて、生まれたての子供を誘拐するのは女性と決まっている。付け加えるなら、シングルの女性に限られる。幼女を誘拐する男性の犯罪者は報道されるが、赤ん坊を自分のものにしようとする男性はほとんど聞いたことがない。この差は、自分たちの子供に対する考えに似ている。人間は、女性しか産む能力がない。女性だけで子供はできないが、出産は女性だけに訪れるイベントだ。現在では、妊娠を追体験できるテクノロジーがあるらしい。女性の大変さを男どもに知ってもらおうとする、フェミニズム的な流れの一環だと思うが、身体的な感覚を共有したくらいではこの作品の母親の気持ちは理解できない。男である上に、子供を持ったことがない自分には、この映画は女性の狂気を描いた作品にしか映らない。しかし、自分の母親に見せたら全くちがう作品に映るのかもしれないと考える。

パートナーと将来を語るうえで、子供のいない未来も想像してほしいと強調する。「子供がいないと一緒になれない」では、結婚する意味がないし、いずれ破綻するのは目に見えていると思うからだ。彼女も一応は理解を示してくれるが、やはり新しい生命を宿すという経験をすることなく生涯を終えることを受け入れられない感情も見てとれる。結局、決めつけないでいようという考えに着地するのだが、子供に関する考えが一致することはないんだろうなと思う。しかし、そのこと自体を悲観することはないと思う。なぜなら、どんなことも価値観が一致した結果先に進むわけではないから。「親ガチャ」「小ガチャ」で表現されるように、結果が出て初めて現実を受け入れることができる。