Unlimitedに上機嫌

「お金はかけずに学びたい」をコンセプトに、年間300冊を読む無職がPrimeReading対象本を紹介するブログです。

乗車率150%は筆が進む。

乗車率100%超え。大型連休を伝えるニュースでは、これまで何度も見聞きしたことがある。まさか、この体調で経験するとは夢にも思ってなかった。

昨日は2時まで家族と「みんはや」に興じた。オーバーワークとはこの事を言うのだな思うぐらい、10時間近く頭をフル回転させた。寝るところがないので、リビングのこたつで母親と一緒に寝た。母も息子たちとの楽しい時間の余韻が消えいなかったらしく、灯りを消してからもお喋りを続けた。歯磨きの時にかかとを上げ下げする理由や歯が黄色い人は幼少期に受けた予防接種が原因である事、親戚の近況報告など、暗くて見えないが楽しそうに話す母の顔が目に浮かんだ。その時、普段感じることのない愛くるしさで満たされた。おやすみを伝えることもなく、いつのまにか眠っていた。

母のかけたアラームで目を覚ました。体の節々は痛むが、5時間ぐらいは眠れたみたいだ。連日の食べすぎから朝から便意が呼びかける。出来るだけ埃を被った掃除用具を見ないようにし、体の循環を想像しながらシンプルな目的にフォーカスした。

麻雀に出かける兄と弟が起き出してきた。我が家は「おはよう」や「ありがとう」を省略するイメージがあったから、両方から「おはよう」と言われた時は驚いた。自分たちが大人になった証なのか、どこかで二人を軽んじていたのか、お腹の緩みよりもくすぐったい嬉しさが上回った。

朝からブロッコリーにマヨネーズを大量にかけ、余り物をガッツク二人を見て羨ましくなった。お腹は空いているはずなのに、食べたいとは思わなかった。多分、これが最初の予兆だったと思う。起きてから20分で出て行く若者たちを見送り、洗濯物を終えた母親となんとなく箱根駅伝を見た。幾度となく母親から「何も食べなくていいの?」と聞かれた。自分の母親はこんなに優しかったかと反芻しながら、バニラヨーグルトだけ食べることにした。遊びに行くたびにオモテナシせずにはいられはいお年寄りの素養を、60を超える母親は既に身につけているなと感じた。

寝正月だけは嫌だと、本やYouTubeを交互に覗くもいつの間にか眠ってしまう。これがコタツの持つ魔力かと、着実に自堕落に吸い込まれていく。

華の2区だったはずの駅伝も、既に数チームがゴールしていた。夢と現の間で聞こえてきた音を頼りに、「どこが勝った?」と母親に尋ねる。結局、優勝候補の筆頭が往路を制したことを知りちょっとがっかりだった。詳しくはないが、明日は一度も首位を譲ることのない、退屈なレースになるだろうと想像した。

あまりに眠り続ける自分を心配して、母親はおでこに手を伸ばしてきた。「熱いよ」と言う母親を待っていましたと言わんばかりに、起きてからずっと熱っぽいと感じていた事をを打ち明けた。「もう」と呆れながら渡してきた体温計で熱を測る。脇に挟んで数秒で音が鳴る。これは低温を確信したが、表示されていたのは37.6。35度前半の平熱なので、十分に異常と考えられる数値だ。案の定、それを見た母親は「あんた熱あるじゃない」と言ってきた。だから、体温計は嫌いだ。それまでこたつに入っていた事実よりも、いつもより熱があることだけがフォーカスされる。一人でいる時は、体に異変を感じてもなかなか熱を計らない。自分は異常なんだと刷り込むだけだからだ。

過剰に心配してくれる母親の小言をいなしながら、連絡を取り始める。レンタルスペースで過ごす予定だった幼馴染二人、現在帰省中の同居人と彼女の母親。近くにいる母親は気になったが、できるだけいつも通りの感じで報告をした。デレデレしながら話す様子に嫉妬したのか、母親からは素っ気ない視線が送られる。昨夜、「子供みんなが結婚したら寂しい?」と聞いたときには、「それぞれが幸せならいい」と答えていた。理屈と感情は必ずしも一致しない。27歳の大人になっても嫉妬してくれる母親を、より一層愛おしく思った。

乗車率150%の電車に揺られること、約1時間。気づけばこの記事も2000字を伺うところまで来た。高熱による興奮のせいか、信じられないほど筆が進む。「名作のほとんどは、酩酊時に書かれた」。どこかで聞いたことがあるようなないような与太話も、あながち間違っていない気もする。

事もあろうに、こんな時に空腹がやってきた。