Unlimitedに上機嫌

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「移動手段、基本チャリ男」が、ヘルメットの義務化について考えてみた

片道10キロ以内はチャリで移動する自分にとって、ショッキングなニュースが流れてきた。

mainichi.jp

タイトルだけ見ると、「4カ月後にはヘルメットを着けてチャリに乗らないといけない」としか思えないニュース。だが、本文を読んでみると、ヘルメットの着用は努力義務であることが分かる。義務って言葉がつくから嘘ではないが、WEB版の全国紙がつける釣りっぽいタイトルにウンザリする。ちなみに、「自転車 ヘルメット」でトップに出てくる記事のうち、約半数は「義務」と表示している。限られた文字数の中でクリック率を高めるためには「義務」とする方が良いが、国営放送が最も客観的に事実に近い形で表現しているのにちょっとホッとする。

法律のことはよく分からないが、「義務化」と「努力義務化」は意味が全然違うことは何となく知っている。

努力義務とは

努力義務とは、日本の法制上「〜するよう努めなければならない」などと規定され、努力義務に従わなくても刑事罰や過料等の法的制裁を受けない作為義務・不作為義務のことである。 また、「努力義務」には法的拘束力がないため、絶対にこのような行為を行わなければ、「努力している」とは評価されないというルールもない。

出典:Wikipedia

最後の一文「「努力義務」には法的拘束力がないため、絶対にこのような行為を行わなければ、「努力している」とは評価されないというルールもない。」は、否定が繰り返されて分かりづらくなっているが、簡単にいえば「従わなくても罰せられないゆるいルール」が努力義務であると言えそうだ。

従わなくても罰せられないのに、なぜ明文化する必要があるのかは分からない。ルールの充実が社会の充実に繋がると考えてのことなのか、法律家には「毎年、最低何個のルールを新設しなさい」というノルマが課せられているのかもしれない。

一般的には、「義務」には3種類があって、「義務規定>配慮義務規定>努力義務規定」の順に強制力が強い。

努力義務の事例

身近でところで言えば、以下のような努力義務が存在する。

  • 70歳以上の人が運転する際につける高齢者マーク(道路交通法
  • 70歳までの就労機会確保(高年齢者雇用安定法)
  • 前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間のインターバルを確保する(労働時間等設定改善法)

調べた感じ、労働関係で出てくることが多い「努力義務」。「従わないと罰せられる」義務規定でガチガチにしたいところだろうが、経営者や起業家からの機嫌を損ねると、法律をつくる政治家の不利益となることもあるので、使われる側のニーズ(世論)の動向を見てうまく義務を使いこなしているのが実態だと想像する。

強制力弱くね?

法律どうこうではなく、人は「別に守らなくていいヨ」と言われて律義に守るケースは少ない。小学校の時の自由時間がそれ。「学校だからクラスで勉強してほしい。でも、グランドや体育館で遊んでも咎めはしない」と言う担任がいた。最初はみんな様子を伺うが、誰か(たいてい男子)が「外遊びに行こうぜ」と言い出したら、1分後にはクラスほとんど空っぽになる。

大人になっても本質は変わらなくて、「お店(会社)が忙しいから残業してくれると嬉しい。定時で上がってくれても咎めはしない」と言われる場合。平成までならいざ知れず、今はそんな努力義務風のお願いで残業する人は少数派ではないだろうか。中には、「遠回しに残業を強制させられた」と、パワハラを訴える人もいるような時代。

個人の自由や価値観が尊重されるようになった今、「努力義務」はより強制力を弱めている気がする。

どうすれば被る?

ヘルメットの着用を子供から大人にまで対象を拡大させたのも、安全確保の観点から言い出されたものだと思う。ヘルメットの有無で死亡率に2倍近く違ってくる、みたいなことも聞くし、下り坂では時速40キロ近く出る乗り物に乗る時、本来ヘルメットは必要なのかもしれない。海外ドラマ『Suits』では、チャリで出勤する主人公のマイクは高級スーツを着ながらもマイクは欠かさず被っている。アメリカや欧米などでは、チャリを乗るときはヘルメットを着用するのが当たり前なのかもしれない。

しかし、ヘアセットが崩れるや荷物が増えるなどの日常的な問題が勝る。努力義務程度では。それに、後ろの子どもはヘルメットを被っているが、前の親は被らないというケースがよく見られるように、大人は子供より丈夫だからという認識も根付いている気がする。脳が体で一番守るべきパーツであることは、大人と子供に差がないのだが。

どうすれば、努力義務でもみんながヘルメットを被るようになるだろうか?今のまま2023年4月を迎えても、たぶんヘルメットを被るのは小学生以下だけだろう。自分も含めて、ヘルメットを被りたい・被らないといけないと思うような要因を考えてみたい。

特典がもらえる

ヘルメットを被る人だけにもらえる特典を設ける。努力義務というムチでは動かないので、アメで動かせる方法。例えば、ヘルメットでコンビニを利用すると提携ポイントを5%増でもらえるとか、チャリ利用者が喜びそうなボーナスをつける。この手の政策は、企業にも協力してもらわないといけないので大がかりになる傾向になるが。

プロパガンダ戦略

洗脳によるヘルメット着用率100%の実現を目指す。テレビ番組やCM、人気YouTubeチャンネルなど、身近に目にするところでヘルメットを映す。「あのカッコイイ俳優さんも」「大好きなユーチューバーも」と思わせたら、そこら中でヘルメットが爆売れしそう。ただ問題は、定着するかどうか。インフルエンサーを使った戦略は、単発なムーブメントで終わるケースが多い。自転車に乗るという継続的な行動を根付かせるためには、単に有名人を使うだけでは足りない気もする。

まずは全ての公務員がヘルメットを着ける

結局、人間は周りの動向によって行動を決定するもの。マスクが典型例で、外でも日本人が律義にマスクを外さないのは、周りの人たちも着けているからによる。この国には、300万人以上の公務員がいるみたいだから、まずは彼らからスタートさせていけば、1年も経たずにヘルメット国家になりそうな気もする。

ヘルメット被りますか?

頭をフル回転させたが、自分の足りない頭ではみんながヘルメットを着ける未来は実現できなさそうだと思った。少なくとも、自転車愛用者である自分をトキメク政策が思いつかなかった。来年4月に向け、ネットや道端でのアナウンスは増えると思うが、ただ「身の安全のために着けましょうね」では根付かない。国や自治体がどのような戦略をとるのか楽しみにしつつも、自分でも引き続きヘルメットを着けたくなるアイディアを考えていきたいと思う。