元コンサルが知ったかぶりしていた「バランスシート」と「金融緩和」
いま読んでいる本がある。
コンサルぽいことを2年やっていたことがあるが、「バランスシートを説明しろ」と言われれば焦る。「日本で貸借対照表と呼ばれる」や「左に資産、右に負債を記載したやつ」という、何となくの説明しかできない。こんな知識でよくもコンサルを名乗っていたなと呆れてしまう。
また、ニュースに出てくる「金融政策」や「国債」などについても同様。「お金が回りやすくする」や「国がしている借金」程度の理解でとどまっている。
本書は、元経済産業省で官僚をしていた本。タイトルにある「バランスシート」を初め、国や政府にまつわるお金を例に、財務的な知識を学べる1冊。「元官僚が書いた」と聞くと小難しく思えるが、かなり平易な言葉で説明してくれている。ただ、例えや問題提起となる文は小難しさを覚えるものがあるので、自分のレベルに落としこむ必要がある。
今回は、読んでいる中で「これって、どういう意味?」と思った一節を取り上げて、自分なりの言葉で解説してみようと思う。
金融緩和って、どゆこと?
イマイチ理解できなかった一節がこちら。
中央銀行が通貨供給量を増やして金融緩和をするということは、お札を刷って国債を買い入れることなので、中央銀行のバランスシートの金額全体が大きくなります。これを「バランスシートの拡大」といいます
出典:『バランスシートで考えれば、世界のしくみが分かる (光文社新書)』
この一文を理解するには、以下のことをマスターする必要がある。
- バランスシートとは
- 金融緩和とは
- 「バランスシートが拡大する」とは
バランスシートとは
バランスシートとは、「ある時点のお金の状態」。会計上、お金とは2つの種類に分けられる。資産と負債。資産とは、入っている(入る予定)のお金。負債は、出る予定のお金。
こんな感じで、左に資産、右に負債を書く。お金の状態は、常にイコールの関係になる。つまり、ある時点の資産と負債は同じ額だけ存在するってこと。右下にある純資産は、資産から負債を差し引いたもので、常に存在するわけではない。
「バランスシートが拡大する」とは
例えば、こんな感じのバランスシート(ある時点のお金の状態)があるとする。バランスシートが拡大するとは、「ある時点のお金」が大きくなることを意味していて、試しに流動資産を1000増やしてみる。
すると、左側のオレンジ部分が大きくなる。バランスシートは左右イコールの関係にあるものなので、帳尻を合わせるために右側の純資産のところも1000増やす。
左右の大きさが同じになった。また、左側の数字に注目してほしい。最初のバランスシートでは1800が最大だったのに対して、今回は3000が表示されている。「バランスシートの拡大」とは、図形の面積が大きくなったことを意味している。
金融緩和とは
最後に、経済のニュースでよく聞く「金融緩和」。単語ごとに意味を噛み砕いていく。金融とは、お金を融通すること。誰かに「お金を融通してほしい」と尋ねると、相手によっては「いくら?」と財布を開いてくれる。つまり、お金を貸してくれる。財布の紐を開け閉めする様子で融通度合いを示す。「財布の紐がゆるい=気前よく貸してくれる」「財布の紐が引き締まっている=なかなか貸してくれない」という感じで。
個人や企業にお金を貸してくれるのは、銀行。そして、その銀行にお金を貸してくれるのが、中央銀行(日本銀行)。トップの貸し手である中央銀行の融通度合いで、みんなのお金の借りやすさが決まる。中央銀行が気前よく貸してくれる時を「金融緩和」、反対になかなか貸してくれない時を「金融の引き締め」と言う。
中央銀行は、どうやってみんなに貸すお金を用意するのか?お札を刷る。しかし、ただ刷るだけでは、図のようにバランスシートの右側だけが大きくなってしまう。
バランスシートは左右対称になるルールがあるので、資産も増やさないといけない。お買い物と同じで、刷ったお金で資産になりそうなものを買う。国債だ。詳しくは知らないが、中央銀行はだいたい国債を買うのが好きらしい。国債は現金になるのに時間がかかる資産なので、バランスシート左側の「固定資産」が増えた。
これで、バランスシート上では均衡が保たれた。
以上が、最初に取り上げた一節の解説。
中央銀行が通貨供給量を増やして金融緩和をするということは、お札を刷って国債を買い入れることなので、中央銀行のバランスシートの金額全体が大きくなります。これを「バランスシートの拡大」といいます
出典:『バランスシートで考えれば、世界のしくみが分かる (光文社新書)』
本に書かれていた内容を補足すると、国のバランスシートを理解する上で以下のざっくりしたイメージを持っておくとよい。
本書のタイトルにあるように、バランスシートを理解すれば社会時事の見え方が変わる。まだ読んでいる最中だが、読んだ後では経済ニュースに出てくる単語やフレーズの理解が深まった気がしている。数字に強いことは、ビジネスマンとしての武器になるので、興味がある人は是非!