Unlimitedに上機嫌

「お金はかけずに学びたい」をコンセプトに、年間300冊を読む無職がPrimeReading対象本を紹介するブログです。

自分は、なにを諦めたのだろうか?

時間は、7時50分。場所は、マクドナルド。8時からオンラインで読書会に参加する。

自分の前のおばあちゃんは、ホットコーヒーと水を頼む。番号の書かれたレシートを受け取ろうともせず、何か店員さんに向けて言いながらその場を離れる。後ろにいた自分には、「席に持ってきて」と聞こえた。しかし、パーテーションの向こうの店員さんは「お客様、レシートは?」と問いかけている。感じの良さそうな店員は表情を曇らせながも、どうやらおばさんの意図は受け取ったようである。再び笑顔を取り戻し、自分の注文を聞いてくれた。ホットコーヒーを頼み、レシートをもって横にずれる。

朝だからか、厨房には2名しかいない。1人はマフィンを調理している。もう1人は用途の分からないバルブを回している。ドリンクを担当する1人は、電話応対に追われている。時間は、7時52分。

レジ前には、4人が並んでいる。一旦、ドリンクを入れに先ほどのお姉さんはレジを離れる。レジでは所作に無駄がなかった彼女だったが、コーヒーを入れる手際は決して良くなかった。向こうでは、フードが溜まっている。時間は、7時54分。

電話対応に追われていた店長風の女性が、ドリンクコーナーに戻ってくる。「お願いします」と声をかけ、接客に適性をもった彼女はレジに戻る。それまでの遅れを取り戻すかのように、店長さんはどんどんコーヒーを要れていく。自分の1つ前の番号が呼び出される。誰も応答しない。あのおばさんは、席で待っているからだ。さっきよりも声量を上げて呼ぶが、取りに来る人はいない。諦めて、店長風の女性は次の番号を読みあげる。遅刻するかもしれない焦りと、人手不足の運営を助けようと、呼ばれると同時に「ありがとうございます」と受け取る。すぐさま、階段をあがる。時間は、7時55分。

背後からは、あのおばさんを呼び出す声が聞こえる。水とコーヒーを頼んだ人は、すでに着席していることを知っているのは、僕とレジの女性だけ。レジの子は、行列をさばくことに気を取られていて、上司が繰り返す呼び出しが聞こえていないようだった。既に4段登った自分が、戻って教えてあげればみんなハッピーになることは分かっている。だが、席に着きzoomにつなぎIDパスを入力する時間を瞬時に計算した結果、振り向かない選択をした。

心苦しさを胸に、急いでPCを開く。手間取ることなくzoomを接続完了させた時間は7時58分。あの時、戻ってもたぶん間に合った。なんなら、今から降りて事情を説明してもいい。しかし、「あれから3分経ったし解決しているだろう」という都合の良い想像をした。ホストが入室をするまで、永遠にも感じられる数分を過ごした。回は、8時2分から始まった。

人は、何かを諦めながら生きている。1年以上参加していて多少の遅刻を許されるであろう会と早朝から100円で空間を提供してくれる店。自分は、何を諦めたのだろうか。