Unlimitedに上機嫌

「お金はかけずに学びたい」をコンセプトに、年間300冊を読む無職がPrimeReading対象本を紹介するブログです。

「この映画●回見に行った」と言う人にはなれない。

 よく「この映画は、3回見に行った」と話す人がいる。先日もパートナーの実家に行った際、彼女の弟は「FILM RED4回観に行きました」と話していた。どうして何度も行くのか聞くと、音楽ですねと返ってくる。すぐに意味が分からなかったが、車内から流れる主題歌を聞いて理解した。信じられない。理解できないのは、曲目当てに映画を見ることではなく、同じ作品を繰り返すことだ。そもそも、映画館では年に1,2本しか見ないというのもあるが、なぜ2,000円かけて既に見たものを見るのか分からない。10年前までは映画好きの父親に連れられて、年に5本ぐらいは映画館で見ていた。いずれも、ド定番作品で今も「名作」と呼ばれるものを見てきた。これまで100本近く映画館で見てきたが、一度も「もう一度劇場で見よう」と思ったことがない。それは、自分のお眼鏡に適う作品がなかったというのではなく、一貫した経済感覚によるものだと思う。簡単に言えば、自分はケチなんだと思う。いや、「粋でない」というのが正確か。   

 「同じ作品を何度も見に行く」に似たものに、「CDを買う」が挙げられる。学生時代は、まだ円盤が売れる時代だった。某女性アイドルグループが、握手券を同封してぼろ儲けしていた時代だ。一通りトレンドは押さえていたし、それなりに好きなアーティストもいた。だが、生涯で購入したCDはB'zの『OCEAN』ぐらい。その他は、旧作になるまで待ってTSUTAYAで借りてウォークマンに入れていた。音楽好きからすれば、この姿勢は「粋でない」と評するだろう。死ぬほど金を手にしても、好きな歌手や監督の作品で埋め尽くされたコレクションルームは作らないと思う。

 話を映画に戻すと、最近の売れる映画は歌ありきだと言える。新海作品はその典型で、『君の名は』も『すずめの戸締まり』も、RADWIMPSの歌ありきで作られている。単なるトレンドであり、ケチをつけたいわけではないが、作り手の思惑通りになるもんかと卑屈になってしまう。最新作を見ていないが、高校生の入れ替わり作では、「ここでこの曲を流せば泣いちゃうんでしょ?」な展開が随所に見られる。ホラー映画でも、「怖がらせる」側に立って見るタチなので、感動よりも「でしょうね」が先行する。トレンドに敏感な彼女の弟は、新海最新作を『RADが良かった』と言っていたので、見に行ったとしても「まただよ」「きたきた」というリアクションを連発する気しかしない。

 「どう見るか?」「どこで見るか?」「何を見るか?」は、人それぞれ。好きな映画に、『君の名は。』や『FILM RED』を挙げる人がいても一向にかまわない。積極的に映画について語ることはないだろうが、その一面だけがその人ではないことは理解している。来週、今年初めて映画を見に行く。一向に前売り情報が発表されないのが気がかかりだが...。