Unlimitedに上機嫌

「お金はかけずに学びたい」をコンセプトに、年間300冊を読む無職がPrimeReading対象本を紹介するブログです。

ティムバートン発、富樫義博着の奇妙な夜間列車

クリスマス映画というと、たくさんの洋画が思いつく。ホームアローン天使にラブソングを、ダイハードなんかもそうだろうか。

何となくクリスマス気分を味わいたいと、PrimeVideoを物色していたら出てきた『チャーリーとチョコレート工場』。ティムバートン監督、ジョニーデップ主演の名作だ。名作か否かは、個人的な思い入れによるものだから異論は認めない。本題に入る前に、ジョニー・デップと言えば、『ファンタスティックビースト』を降板させられたらしい。週に1回の英会話の時に、友達が教えてくれた。DVか何にか良くないことで、悪者の役が代わった、と。役名は「グリンデルワルド」みたいな響きだったと思う。最新作は結局見ずじまいで、3部目を誰が演じているのか知らない。正確には、英会話の中で調べたけど、聞いたことのない俳優だったため覚えていない。確か、北欧系の人だったと思う。

さて、本編に戻ろう。現在、工場に入りウンパルンパと出会った場面で止めて、この記事を書いている。散々地上波でも放送された過去作だから、ネタバレを気にする人などいないと思うが、本編の内容について書くことを先に伝えておく。

前回から少なくとも3年は空いているため、工場に入るまでのストーリーにかなりの記憶違いがあったことに気づいた。結論から言うと、主人公・チャーリーは3度目のチャンスをものにする。1度目は、両親が買ってくれた誕生日プレゼント。家族6人が見守る中、包みを開くが残念賞。2度目は、メガネをかけたおじいちゃんのへそくり。小さな巾着から銀貨を取り出し、孫に手渡す。そのまま息を引き取るミスリーディングが挟まり、2人で開けるが今度も残念賞。最後は、道端で埋もれていた20ポンド札(10ポンド札かもしれない)で買ったチョコ。ここで1つ疑問が。先ほどじいさんに託された銀貨と雪の中に埋もれていた紙幣は等価であるのか?というもの。そもそも、主人公たちが住む国はどこか?チョコレート工場のある町と同じであることは確かで、ロンドンだと記憶している。作中とリアルに差異がなければ、彼らの住むのはイギリスであり、通貨はポンドであると考えられる。アメリカならいざ知れず、ポンドの通貨構成については全くの無知。とは言え、アメリカはイギリスをモデルに通貨を組んだはずだから、紙幣は硬貨の上位にあると考えられそう。おじいさんにもらった銀貨でちょうどチョコ1枚買えた感じだったから、偶然拾った紙幣でチョコを1枚買ったらお釣りが出るはず。だが、店の主人が釣りを用意するシーンはなかったし、チャーリーも釣りを受け取ろうとする様子はなかった。その後のチケット出現で有耶無耶になってしまったため、映画内でイギリスの通貨事情を理解することは叶わなかった。

軽く調べたが、やはりイギリス通貨の価値は「硬貨<紙幣」みたいだ。つまり、3回目の紙幣で買った時はある程度お釣りが出てくる計算になる。店の主人がお釣りの準備をしているのを見逃したのか、金券レースが終盤に差し掛かりチョコの値段が急騰したのか、再度見返す必要がありそうだ。

チャーリーの大人な対応も然ることながら、今回は彼の祖父母たちに注目した。

ざっくりと4人を紹介すると、

  • ウォンカ社の元従業員だったメガネじいちゃん
  • やや辛口なその妻
  • こぶ取りじいさんに出てくる悪い方のじいさん風のおじいちゃん
  • かなりの認知症が進行しているその妻

いずれもベッドに入っているため、身体的な見分けがつきにくい。特に女性陣。だが、パーソナリティは実に個性的で分かりやすい。

特に、印象に残っているのが父方の祖父母。辛口祖父とボケてる祖母。

彼らは、それぞれ素晴らしい名言を残している。祖父は「金は毎日刷られているが、チケットは世界に5枚しかない。それをあっさりと金に換えてしまうのはバカがやることだ。お前はバカなのか」という言葉を、祖母は「不可能なことなんてこの世にないのよ」という言葉を残している。

特に、意地悪なおじいちゃんの言葉が刺さった。この言葉は、チャーリーがチケットを売って生活費の足しにしようと申し出た時にかけられた。宝物を手にした子どもから出てくることが奇跡的だが、それを凌駕する大人な発言。貧しいと賤しいの違いは、こういうことなんだろうと考えさせられる一言。お金がないと口癖にしていた母が、習い事や挑戦には惜しみなくお金を出してくれたことを思い出す。

順番が前後するが、ウォンカ社の回想で、インドの王室に頼まれてチョコの宮殿を建てるシーンが存在する。外国の王室にも頼まれるぐらい凄い人(会社)だったんだよ、と伝える意図だったのだろうが、インドである理由をあれこれ考えていた。まっさきに考えついたのが、奴隷貿易。ウルウル覚えではあるが、イギリスが覇権を握っていたころの世界史。確か、イギリスが属国であるインドに安く大量の綿花や香辛料を栽培させていただったと思う。もし、その知識が正しいとすると、作中のパワーバランスは歴史とは正反対であることになる。チョコを作るのはイギリスのウォンカ社で、発注するのがインドの王室。ティムバートンがどれだけ偉大な監督か知らないが、そういった歴史的な背景を取り込んでいると深読みしたくなる。岡田斗司夫さんが分かりやすく解説していないかな~。

またまた脱線するが、最近は岡田斗司夫さんが解説しているかどうかを、作品を選ぶ基準にしてしまっている。ただ見るだけでは飽き足らず、かと言って正確に見れたか自信がない。そもそも、どう見るかは見た人の自由で、正確に見ようとする必要などない。だが、ブログやYouTubeなど、簡単に解説にアクセスが見れるようになった今、正解ありきで鑑賞するようになる。何を見ていたの?とバカにされたくないからだ。裏を返せば、本編を見なくても見た気分になれる時代とも言える。『ハンターハンター』がその典型例で、YouTubeには解説に特化したチャンネルが無数に存在する。複数のチャンネルを回遊すれば、本編以上の情報を手にすることができる。おかげで、無料でほぼタイムリーに最新話を抑えることができる。

ティムバートンから始まり、冨樫義博に終わる。実に奇妙な冒険をした。引き続き、世間に一日先んじてロードショーを楽しみたいと思う。