Unlimitedに上機嫌

「お金はかけずに学びたい」をコンセプトに、年間300冊を読む無職がPrimeReading対象本を紹介するブログです。

真理とは、偏見である。

真理とか真実とか一丁前な言葉を乱発する人は、用心すべきだ。真理とは、単なるデータに過ぎないと常々考えている。個人的な偏った経験則。だから、「これが真理だから」「真実はいつも1つ」を決めセリフにしている人は、超一流の名探偵か偽インテリのどちらかだ。

学生時代にバイトをしていた時、不倫をしている50歳くらいのおばさんと仲良くさせてもらっていた。実年齢よりも20歳くらい若く見える、いわゆる「美魔女」。なぜ早朝のスーパーで働いているのか不思議だったが、容姿と職場は必ずしも一致するのではないことをその時知った。ある時、彼女に食事に誘われた。昼時のロイヤルホスト。TV番組でパンケーキが「燃えた」でお馴染みのちょっと高めのファミリーレストラン。滞在時間のほとんどを、彼女の不倫生活について聞かされた。悩みではなく、むしろノロケ話に近かった。本夫とも不倫相手とも円満だそうで、上手にやっている自分を認めてもらいたかったのかもしれない。両親が離婚していることもあって(多分父親の不倫が原因で)、不倫に対して割と冷めた見方をしている。別にやってもいいものだと考えている。だが、同時に不倫の先には幸せはないとも考えている。不倫における真理とは、「やっても良いけど決して幸せにはなれない道」ぐらいに考えている。だから、彼女が不倫をしていることを軽蔑するでも、讃美するでもなかった。

このことを何年かして、友達に話した。その友達は、自分とまったく同じ考えを持っていると言っていた。だが、この真理が一致するケースは稀なようである。なぜなら、自分の不倫観を話すと、10人に8人は「不倫はやるだけでアウトだから」や「そういう考えは、自分に不倫を許すための口実」のような反応が返ってくる。真理とはそんなもの。自分にとって絶対的なものは、誰かにとっても同じであるとは限らない。

自分が持つ真理には、「えらい人は絶対に偉ぶらない」ってのもある。これはちょこっとコンサルをやっていた時に出会った社長さんを見て得た心理。ちょうど昨日、この真理を裏付けるケースに遭遇した。彼女と結婚パーティー会場の視察を行った先で、終始案内をしてくれた中年男性。初めて見た時は、それほど良い印象ではなかったと思う。スーツのパンツの裾がややダボついていて、革靴もピカピカというわけでもない。まあ、中間管理職の人かな~というぐらいの印象を持ったまま、30分ほど案内してもらった。第一印象に反して、応対は素晴らしかった。程よい距離感を保ちつつも、和やかさと親近感がわく物腰の柔らかさ。20代前半のカップルを相手にしているからか、たまにため口が出る。だが、これも嫌味や上からの印象を受けない。ため口を使うタイミングが、絶妙。恐らく、こっちが受け入れられる相手だと判断して、敢えてため口を混ぜ込んでいたのだろう。終始笑顔が絶えない案内を終えて、送り出される時に名刺を渡された。そこには、「代表取締役社長」の文字。課長レベルだと思っていた相手は、実は社長だった。聞けば、他にも8店舗を経営する人だった。「新郎さん、面白い方ですね」と言ってくれたが、あれは「威張らない偉い人」によって引き出されたものに過ぎなかっただと痛感した。

本を読むようになった頃は、自分は「優秀な人は絶対に本を読んでいる」という大前提で、出会う人を値踏みしていた。極端に言えば、「本を読まないやつはロクなもんじゃない」という偏った真理を持っていた。だが、社会人になり数々のデキる人を見ても、本を読まない人がほとんどだった。正確には、世の中に本を読む人はほとんどいないことを知った。肌感覚としては、読書習慣がある人は全体の1割程度。当然、この1割が全員優秀であるわけはない。むしろ、自分のような読書していることしか取り得がない人も多くいる。啓発本やビジネス書を読むことで自分の価値が高まると信じてやまないイタい人たちが。ちょっと言い過ぎた。有名な起業家の誰もが読書家であるは、ある種の真理ではある。だが、有名な起業家はデキる人のごく一部でしかなく、読書しないデキる人の方が圧倒的に多い。このように、真理とは特定のコミュニティやメディアによって形成された偏見であることも少なくない。

自分の最近の、どうでもいい真理。

「英語話せるようになりたい」「英語を勉強しようと思っている」と騒ぐ人は、10年後も英語を話せていない。どうでもいいことだが、自分のなかではかなり信頼できる真理。