Unlimitedに上機嫌

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プライム会員なら”無料”で見れる!映画『アルゴ』で知る「イランとアメリカ」

ひろゆきもオススメする映画『アルゴ』を見た。

www.youtube.com

ベン・アフレックが主演と監督を務める、2012年に公開された作品。ここでは内容のネタバレは避けたいし、Amazonプライム会員なら無料で見れるので、上のボタンから見てくれたらいいと思う。

既に見て、ベン・アフレックが出ている/作った作品を知りたい人は、こちらの記事を参考にしてください。

primereadingss.hatenablog.jp

 

ここからは、『アルゴ』を見た感想、いや「イランとアメリカの今」について調べたことを書いていこうと思う。作品の中身についてもちょっと触れているので、全く情報を入れたくない人はここまでにしてください

イランって、どういう国?

この映画を見るまで、アメリカとイランがバチバチしていた時期があったとは知らなかった。しかも、50年も前ではない過去に。イランが中東にある国であることは知っていたが、イランは中東の中でも割と治安の良い国、日本やアメリカと仲の良い国というイメージがあったのも、意外だった理由かもしれない。

日本語で「イラン」と入れると、こんな感じのキーワード候補が表示される。

一番目の「イランイラン」は、ダジャレなのか、そういうブランドがあるのか分からないが、「戦争」や「革命」、「デモ」など、やや血生臭い言葉とセットで検索されることが多いようだ。個人的には、イランで真っ先に思い浮かぶのは、滝川クリステル首相候補の妻ともなった、”国民的な清純派”の存在も、「イランは(中東の中では)治安の良い国」というイメージ形成に役だっているのだと思う。

Googleの言語設定を英語に変更して、”Iran”と入れてみると、以下のようなワードが表示される。

「サッカー」が真っ先に出てきて、他は「戦争」や「宗教」、「イスラエル」などの政治的な単語が並ぶ。Googleの英語設定が、アメリカとイギリスのどちらを反映しているのか分からないが、日本と英語圏のイランに対するイメージはそれほど差がないと考えてもいいと思う。

『アルゴ』で描かれているのは、1979~80年のイラン。当時は、武器を持った革命軍が国を支配していて、とても気軽に旅行できるような国ではなかった。40年以上経ったいまはどうだろうか。

出典:外務省HP

上は、イランの危険度を可視化した図。赤が危険で、黄色が安全なエリア。東のアフガニスタンパキスタンと隣接する地域と西のイラクと隣接する地域は、危険度マックスレベル4「退避勧告」に指定されている。『アルゴ』の舞台となっている首都テヘランは、危険レベル1の比較的安全な地域。「端っこ以外は、まあ安全」というように、イランの治安状況を抑えておけばよいだろう。

政治体制としては、40年前のままらしい。最高指導者と呼ばれる、宗教的なトップが、三権(司法・行政・立法)、軍事的な支配権を持っている。そのイラン国内の”神”である最高指導は、国民による直接選挙で選ばれた86名のイスラム法学者によって選ばれるらしい。映画でも何度も移された初代最高指導者・ルーホッラー・ホメイニーから後を継いだアリー・ハーメネイーが、30年以上にもわたって国のトップに君臨している。学問的には、共和制と呼ばれるらしく、日本人である僕たちが考える民主化は果たされていない。

作中で気になった描写に、「イラン領内に入ったので、アルコールを下げさせてもらう」という、航空機内のアナウンスがある。修学旅行で沖縄に行ったときにしか、飛行機に乗った経験がない自分は、「そろそろ着陸するから、アルコールを回収したのかな?」ぐらいに思ったが、イランを出るエンディングでも、「イラン領内を出たので、アルコールの提供を開始します」というアナウンスがあったので、宗教的な理由からだろつ推察した。

在イラン日本国大使館HPには、以下のような記載がある。

イランでは,イスラム教の戒律にしたがい,アルコール飲料の持ち込みは禁止されています。万が一,入国時の税関検査において,アルコール飲料の持ち込みが発覚した場合には,没収のみならず,当局により身柄拘束を受け,司法手続きが進められることもあり,状況によっては国外退去処分などの厳しい処分が下される可能性もあります。

出典:在イラン日本国大使館HP

大使館が言うことなので、今もイラン領内に入ったらアルコールが下げられるみたいな処置が、飛行機の中で行われているのだろう。それにしても、没収だけじゃなく、身柄拘束を受けるという辺りに寒気を覚える。基本何でもアリな多信教国家で生まれ育ったTHE日本人な自分は、「たかが宗教。されど宗教」と肝に銘じておく必要がありそうだ。

いまは、アメリカとイランって仲良し?

『アルゴ』でも描かれているように、ほんの40年前にはアメリカとイランは、一触即発のバチバチな関係だった。今もあんなことが起こり得る関係だとはさすがに思わないが、どれくらいの関係なのか知らない。以前読んだこちらの本では、外交とは「貿易と安全保障について、他の国と話し合うこと」であると学んだ。

つまり、イランとアメリカの外交関係は、貿易と安全保障を見れば分かるということ。

U.S.-Iran Trade After Sanctions | The Iran Primer

上の表を見ると、この50年間は貿易量が減少し続けてきたと言える。人質事件が起こる前年の1978年のアメリカの輸出額は37億ドル。しかし、バチバチがあって貿易が再開された1981年の輸出額は3億ドル。輸出が減少した一方で、アメリカへの輸入は1980年代後半まで盛り返す。アメリカがイランから輸入するのは、主に石油。1980年代は、アメリカのエネルギー会社は子会社を通じて、イランから出る石油を買いまくったが、イランへの経済制裁が拡大されてからは、輸入はほぼなくなった。上の図では、1990年代前半にちょろっと青いバーが見えるが、これはイランへの輸出。経済制裁をしているアメリカは、「うちから買うのは多少許すけど、お前らの国が潤う輸入は許さん」という姿勢をとっていたのが分かる。

続いて、安全保障の面から両国の関係を見てみる。

www.bbc.com

こちらの2022年12月にBBCが出した記事によると、アメリカは、イランを宿敵ロシアの味方、つまりアメリカの敵だと考えていると報じている。当然、敵であるロシアに加担する国と仲良くするわけもないので、安全保障的には最悪だと考えられるだろう。

イラン国内で両国の関係を知ることはできないだろうか。『アルゴ』では、1980年のテヘランにKFCと思しき店が映し出された。一瞬でロゴまでは確認できないが、関係が最悪だった当時にも、アメリカに本社を置く店がイランにはあったと考えることができる。貿易や安全保障の面で見ると最悪な状況の今、イラン国内にはどれくらいのアメリカ由来の店があるのか。

GoogleMapでざっと調べた結果だが、KFCはイラン国内に10以上店舗がある。首都テヘランに多く、日本では危険地域とされているアフガニスタンとの国境付近にも1店舗確認できる。

KFC in Iran

KFCに次いで、思いつくのがマクドナルド。KFCよりも多いだろうと予想したが、意外にも(?)イランにマクドナルドは一店舗もない。

www.rd.com

こちらのサイトで説明されているように、外交的な問題で1979年以降マックはイラン国内への出店が禁止されているようだ。「マックはダメなのに、KFCはOKなの?」と疑問に感じるところもあるが、実際そうみたいだ。

他にも、pizza hatも一店舗イラン国内に見つかった。GoogleMapでの検索結果なので、どれくらい信憑性があるのか分からないが、KFCが複数店舗存在している事実を考えると、イラン国内にはある程度アメリカ文化が存在していると言って良そうだ。

類似作品は?

最後に、『アルゴ』のようなCIAやFBIが実施した作戦を題材にした、映画を紹介したいと思う。もちろん、Amazonプライムビデオで見れるものに限定しているので、プライム会員の方は是非参考にしていただけると嬉しい。

バリー・シール/アメリカをはめた男

2017年公開、ダグ・リーマン監督、トム・クルーズ主演作品。

1970年代、アメリカ。パイロットだったバリー・シール。彼は、その技術を買われてCIAにスカウトされる。しかし、任務中に麻薬王と知り合った彼は、やがて運び屋として暗躍。莫大な富を築くが、同時に大きな危機に直面することになる。

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13時間 ベンガジの秘密の兵士

2016年公開、マイケル・ベイ監督、アカデミー賞(録音賞)ノミネート作品。

リビア港湾都市ベンガジで、イスラム過激派の武装集団がアメリカ領事館を襲撃する。現場からほど近くのCIAの拠点アネックスは、占拠された領事館からの救援要請を傍受するが、彼らの存在自体が極秘であるため対応できず。そして、アネックスに派遣された軍事組織GRSの警備兵6人にも待機命令が下される。

www.youtube.com

13時間ベンガジの秘密の兵士 (字幕版)

13時間ベンガジの秘密の兵士 (字幕版)

  • ジェームズ・バッジ デイル
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ブリッジ・オブ・スパイ

2015年公開、スティーブン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演作品。

1950年代から始まるアメリカとソ連の冷戦時代。実直で家族の良き夫で父親である平凡なアメリカの弁護士ジェームズは、ソ連のスパイの弁護を引き受け、両国の戦争を阻止し平和を守る重大ミッションに立ち向かう。

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