『風鈴』著:松浦 理英子|読みにくかったので書き直させていただきました。
作品情報
作者 |
松浦 理英子 |
ジャンル | 小説・ホラー |
ページ数 |
26 (読み終わるまでの平均:30分未満) |
キーワード | 歪み |
あらすじ
語り手の女性が小学生だった頃、仲良しだった隣家の1つ年下の少年と過ごした日々を回想する。誤って涸れ井戸に転落し、ほんのひと時味わった恐怖の記憶。映画のロケで集落に滞在中の俳優を父にもつ、中学生の少女に魅了され、3人で木工の風鈴を作った夏休みの思い出。そして、別の撮影隊が来た折に悲劇が起こる……。
出典:Amazon
本書と自分
- なぜ読もうと思ったか・・・
- すぐに読み終える小説を探していたから
- なにを得たか・・・
- 書き出しが重要であること
個人的な感想
135、110、169
1ページ目で感じた不快感。
読み進めるごとに、少しずつその原因がわかる。
一文が長い。
特に、冒頭の三分はいずれも百文字を超える。
「山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。情に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」(出典:『草枕』夏目漱石)
「石炭をば早(は)や積み果てつ。中等室の卓(つくゑ)のほとりはいと静にて、熾熱燈(しねつとう)の光の晴れがましきも徒(いたづら)なり。今宵は夜毎にこゝに集ひ来る骨牌(カルタ)仲間も「ホテル」に宿りて、舟に残れるは余一人(ひとり)のみなれば。」(出典:『舞姫』森鴎外)
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。向側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落した。雪の冷気が流れこんだ。」(出典:『雪国』川端康成)
21、13、10
15、51、53
21、10、12
書き出しはリズムカルな短文で始め、読者と息を合わせる。
一度与えられた不快感は、読み進める気力を奪う。
どれだけ後半に劇的な展開が待っていても、
そこまで読まれなければ意味がない。
と、ここまで徹底して批判したわけだけど、
このままでは愚痴と変わらない。
この作品の冒頭三文を生まれ変わらせようと思う。
「これはわたしがまだ世の中のことをほとんど知らず、自分に降りかかるもの、押し迫って来るものを上手に受け流すことができなかった子供の頃の話。
当時の私には、日々のあらゆる出来事を身一つで真正面から受け止め、ささいなことにもいちいち心を揺さぶられ息を乱したり立ち尽くすしかなかった。
生まれた育った集落は山の中にあって麓の町の小学校までは歩いて一時間かかるへんぴな所だったと話すと、「じゃあ、虫には馴れてるでしょ?」と訊かれる。わたしは子供の頃からムカデも毛虫もヘビも苦手だった。寝ている間に顔の上に天井からムカデが落ちて来た、という話を聞くと、怖さのあまりしばらくは掛蒲団に全身もぐり込まないと眠れなかった。通学中、山道で草むらから現われたヘビが前を横切った時、一緒に通学していた隣の家の1つ下のワタルに「あれシマヘビだよ。毒はないよ」と教えられても体がすくんで動けなかった。」
どちらの文に引き込まれたか、
ぜひ教えてほしい!
この感想文が掴みに成功していればの話だが…
世間の評価
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個人的な評価
総合 | ★ |
読みやすさ | ★ |
読み応え | ★★ |
もう一度読みたい度 | ★ |