Unlimitedに上機嫌

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現代版・さるかに合戦『最後は臼が笑う』著:森絵都

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空気のように悪はそれにある。

だが、どんなところにも'臼'はいる。

こんな人に読んでもらいたい

  • スカッとする物語が好き

作品情報

作者

森 絵都

ジャンル 小説・リアル
ページ数

24

(読み終わるまでの平均:30分未満)

キーワード 善悪・性癖

あらすじ

とてもひねりの効いた、一筋縄ではいかない大人のための恋愛短編。確かに女と男は〝出会う〟のだが、そこから先が尋常ではない。幸せの形は人それぞれとは言うものの……。

ヒロインは公務員の桜子、39歳。人生このかた、ろくでなしの悪い男にひっかかり続けてきた関西人。妻子持ちに騙され、借金持ちには貢がされ、アブノーマルな性癖持ちにいたぶられる。ところが、桜子は「ろくでなしや、あかん奴や言われとる男に限ってな、どっかしら可愛いとこを持っとるもんなんや」と公言し、好んで吸い寄せられていく。高校時代からの友人の「私」は、悪弊の連鎖を断つべく有志を募り、「桜子の男運を変える会」まで結成したが、当人は我関せずだから、どうしようもない。

ところがある日、解散して早十年を数える会に、桜子から緊急招集がかかる。「一分の隙もない完全な悪」にとうとう出会ってしまったのだという。〝完全な悪〟とはいったい何者か?

出典:Amazon

象徴的な一節

悪は支店によってめざましくその形状を変じ、近づくほどに思わぬ側面を覗かせる。

本書と自分

  • なぜ読もうと思ったか・・・
    • ずっと気になっていたから
  • なにを得たか・・・
    • 悪をやっつける力をつける
  • 好きな一節・・・

    いい男にランクがあるように、悪い男にもランクがある。

個人的な感想

最悪な正体を知っている

簡単に最悪という言葉を使うけど、
どうしようもない悪を知っている。

僕は(正確には僕たち3人は)、
兄に3年間無視され続けた。

その時のことはあまり思い出せない。
思い出さないように、
記憶に分厚い蓋をしてるんだと思う。

でも、確かにあの3年間は最悪だった。

きっかけは分からない。
彼のカードをとったとか、
彼のゲームを勝手に進めたとか、
そんな小さなことだったのかもしれない。

気づけば、無視されるようになってた。

もし、舌打ちを返事だとするなら、
返事はしてもらってた。

僕たちには、’臼’は現れなかった。

あの時の僕が出来ることは、
母にあたること。

文字にするのは憚られる言葉で罵った。
なんの解決にもならないと知っていても。

兄が県外の大学に出ることで、
最悪の日々は終わった。

同時に両親が離婚した。


あの当時のことを兄に聞いても、
「覚えていない」と答える。

本当に覚えていないのかもしれない。
僕以上に、記憶に分厚い蓋をしているのかもしれない。

彼はこれからの人生をかけて、
罪滅ぼしをしようと決めたらしい。

彼の仕送りのおかげで、
県外の大学に行くことができた。

彼も会社を辞めて、
新しい道を模索しているらしい。


世の中には意図せず、
最悪を実現してしまう人がいる。

現実は残酷だ。
さるを叩きのめす"臼"は待っていても現れない。

正義は勝つって?
そりゃあそうだろう。
勝者だけが正義だ。

世間の評価

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個人的な評価

総合 ★★★★
読みやすさ ★★★
読み応え ★★★★
もう一度読みたい度 ★★★

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