Unlimitedに上機嫌

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【ネタバレ注意】プライム対象『レッドライト』6つの疑問を徹底解説!

ロバート・デ・ニーロが出ている、prime対象の映画を探していたら、こちらの作品が見つかった。

ここからは、ネタバレを含むのでご承知おきください。

見終わってから感じたことを率直に。

 

ん?どゆこと?

 

これぞ、率直な感想。トム(若い博士)が超能力者だったことは、何となく分かった。最後の独白シーンは、彼がありのままの自分を受け入れる的な内容だったから。ただ、他にもたくさん疑問が残っている。ざっと挙げただけでも、これらのことが消化不良。

  • 誰が超能力者だったのか?
  • なぜ博士は死んだのか?
  • なぜトムはボコボコにされたのか?
  • 主要キャラたちが投げかける意味深な疑問
  • なぜミスリードされたのか?
  • この作品は何を伝えたかったのか?

これらの疑問に対する答えを、自分なりに考えてみた。

誰が超能力者だったのか?

結論から言うと、トムだけ。彼が超能力者だと分かるのは、最後の最後。彼の独白の中に「全部自分だった」というセリフがある。そして、この言葉の後に作中で起こった超常現象が流れる。つまり、「これらの現象は、全部自分が起こしたものだった」と示している。

ずっと超能力者だとされていた、サイモン(ロバート・デ・ニーロ)。彼がペテン師、つまり超能力者じゃないと証明できる材料は、大学での実験。学生2人がトリックに辿り着いたように、彼は実は目が見えて、時計の文字盤で数字を当てていた。正答率8割程度にしたのは、伝達ミスが何回か起こったためだと考えられる。

なぜ博士は死んだのか?

これは推論だが、病死。ヒントは、トムのセリフ。具体的には、彼が学生(エリザベス・オルセン)に「なぜ超能力を暴くのか?」と問われた時の答え。彼は、お腹が痛いと訴える女性を例に出す。もし、ある女性が腹痛を訴えて、霊能力者に「問題ない」と言われた。でも、実際は胃がんで、分かった時は手遅れだった、という例え話。この話の女性は、マシスン博士(シガニー・ウィーバー)だったのではないかと考える。彼女は、科学を象徴するようなキャラクター。しかし、過去に一度科学を信じることができなかったことがあり、そのことに囚われている。彼女が通院していたり、薬を飲んでいるような描写はなかったことから、医学的な処置を受けていないことが分かる。また、作中で彼女が腹痛を訴えるような場面はなかったため、前触れのない形で死に至ったと見るのが妥当な線。こじつけになるかもしれないが、最初のカットの二人の会話も伏線になっているのかもしれない。助手席でうたた寝するマシスン博士に対して、トムは「マーガレット、寝たら?」と声をかける。今寝ている相手にかけるには不自然だが、「普段ちゃんと眠ったほうがいい。君の体(ガン付き)に障るから」と解釈するとスッキリする。つまり、最初のセリフで、「トムが超能力者であること」「博士が病気であること」が明かされていたことになる。深読みしすぎてる感も否めないので、合ってる保証はないけど。

主要キャラたちが投げかける意味深な疑問

トムが唯一の超能力者であることは、主要キャラたちのセリフに示されている。マシスン博士は、車内で「あなた何者?」と質問している。彼は答えることなく、「なぜ、私と一緒にいるの?華やかなキャリアを築くこともできたのに…」と続く。彼は「楽しいから」とだけ答えて、トムには何かあるかもしれないという印象だけを与えている。どうして自分と一緒に研究をするのかを聞きたいのであれば、「あなた何者?」と尋ねる必要はない。あえて、得体の知れない存在を匂わせる疑問が、最終盤への伏線となっていると考えられる。

助手兼恋人の学生には、マシスン博士の中継中に「どうして分かったの?」と尋ねられている。これに対し、トムは「超能力だよ」と答えている。普通に見ていたら、長い付き合いだから博士の癖を知っていて、単に当てただけと流せるが、彼はこの時超能力で分かっていたのかもしれない。そうじゃなかったとしても、彼の超能力者発言はこれが最初で最後で、最後の独白シーンでもこのセリフが回想されていて、彼の正体を代弁する役割を担っている。

サイモンも、去りゆくトムに「どうやってやった?」と繰り返し尋ねている。感情むき出しに投げかける様子は、トリックがあるに違いないと考えている、サイモンが超能力者ではないことの現れでもある。もし超能力者であれば、目の前で起こったことが超能力かどうかの判別はつくはずだし、超常現象を信じている人があんなに狼狽するはずがない。また、トムの返答「ペテンさ」にも、サイモンが偽物であることを暗に示している。

なぜトムはボコボコにされたのか?

サイモンがトムを恐れていたから。上の内容を補足する形になるが、サイモンは一度トムが引き起こした超常現象を目の当たりにしている。映画を見ている人には、サイモンが引き起こしたように映っていたが、最後の回想シーンでも「全部自分だった」とトムが語っていることから、あの爆発はサイモンではなく、トムによるものだったことが分かる。また、一度目の爆発では、彼が目ではなく耳が不自由であることが分かる。破裂する照明に目をやっていたし、甲高い音にはサイモンは反応していない。目が見えない人にとって、聴力は生命線。目が見える人よりも、音に敏感なはずで、健常者である来場者やトムが耳を塞ぐ爆音に反応しないわけがない。自分が引き起こした爆発だから平気だったとすると、最初の照明の爆発に反応する意味が分からない。あの時のロバート・デ・ニーロは、どう見ても狼狽した様子だった。

なぜミスリードされたのか?

この作品が難解であり、面白いのは、作り手による巧みなミスリーディングによるもの。最後まで、サイモン(ロバート・デ・ニーロ)が超能力者だと疑ってきた。鳥がガラスに激突したのも、博士が急死したのも、道端の不気味なおばあさんも、全部サイモンによる超能力だと思えこまされた。仕掛けは、大きく2つ。1つ目は、語り手の視点。この作品は、マシスン博士の死で2つに分かれる。前編は全体像を伝えるため、客観的な視点で物語が進む。しかし、マシスン博士が亡くなった後半は、完全なるトムの主観。なぜ博士が死んだのか語られないので、見ている僕たちはサイモンによる超能力だと思い込む。というか、それぐらいしか考えられない。そうなると、トムの行動は博士の仇打ちにしか映らなくなる。敵であるサイモンに立ち向かう無謀な青年に映るから、映る全てがサイモンの仕業に思えてくる。

物語の外部にも、サイモンにミスリーディングする仕掛けがある。ビジュアルポスターだ。

出典:https://movies.yahoo.co.jp/movie/343964/

ロバート・デ・ニーロをアップにして、「この男を疑い続けろ。」と書かれている。劇場で見た人は、よりサイモンに注意を集中することになっただろう。

この作品は何を伝えたかったのか?

タイトルにある、「レッドライト」。作中でマシスン博士は、「不協和音、違和感の正体」と説明している。サイモンが偽物である証拠も、腕時計という「レッドライト」にあった。また、トムは常に音響機材を持ち歩いていて、現場に流れる音波を測定していた。つまり、世の中にある不協和音や違和感を察知して、真実を見なさい、的なことを伝えたかったののではないだろうか。また、人が超常現象や超能力を信じたい背景には、死後の世界を信じたいという願望があることを忘れないこと。それを信じすぎても、信じなさすぎても辛いから、程々に自分を許しながら信じるものを決めればいいよ、と教えてくれているように思う。

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