Unlimitedに上機嫌

「お金はかけずに学びたい」をコンセプトに、年間300冊を読む無職がPrimeReading対象本を紹介するブログです。

ミニマリズムに感じる違和感

 一時ほどでないにしろ、本屋でもここはてなブログでも、「ミニマリズム」や「ミニマリスト」という言葉をよく目にする。

 人生で最初に「ミニマリスト」を耳にしたのは、パートナーの口から。付き合って2年ぐらい経ったある日、当然彼女はある本を見せてきた。

 活字嫌いと聞いていた彼女が、本を見せてきたので驚いた。どうやら、好きなカップルユーチューバーが紹介していたらしい。現代のユーチューバーの影響力に感心していると、突然「今から、断捨離始めよう」と言い出した。当時は一緒に住んでいなかったので、人の部屋(俺の部屋)にある不要物を廃棄しようと言い出したわけだ。完全にカカっている相手をたしなめるため、どんな内容の本なのかを質問した。タイトルにあるように、1日1個要らないものを捨てよう、というものだそう。「1日1個なら断捨離しなくても良いのでは?」と思ったが、どの辺に魅かれたのかなど矢次ぎ早に質問を投げた。質問を途切らせてしまったら問答無用に断捨離がスタートすると思ったので必死だった。当時実家に住んでいた彼女は、キレイにモノを少なくしたいけど家族に阻まれる、という悩みを抱えていた。自室であれば想い通りになるが、リビングやダイニングはそうではない。実家あるあるだなと同時に、一人暮らしをすれば解放するのにと思ったがすぐには言わなかった。以前にも何度か一人暮らしを進めたことがあったが、毎回お金や責任感などを理由にする気がなさそうなのを知っていたからだ。

 その本と出合ってから、1日1捨を実践しているそうだ。当時はライフワークにするような熱意を持っていたが、2年以上経った今その本すら持っているかどうか怪しい。まあ、人間の決意とはその程度のものだ。自分も過去に、数々の誓約と反故を繰り返してきたから批判の意などこれっぽちもない。

 彼女がハマっていた2年前から、ミニマリストミニマリズムを声高に宣言することが理解できなかった。もちろん、当人に面と向かって言ったことはないが。ミニマリズムとは、最低限のモノで生活するってこと。「私、ミニマリストなんだよね」と称する人は、「最低限のもので生活しているんだよね」と言っているってこと。そう言われても、反応に困る。「へえ、モノ少ないんだね!」と返すしかない。「私全然片付けられないんだよね」と言い、モノが散乱した自室を見せられた方がいくらかマシだ。「きったね~」とか「掃除しに行こうか?」とか、会話が成立する。

 ミニマリストぷりを発信する人の記事やツイートを見ていて一番理解できないのが、収納術だ。彼らは、100均や無印商品を駆使して良い感じに収納された様子をよく投稿する。だが、これは整頓上手であって、ミニマリストではない。だって、ミニマリストとは「最低限のモノで生活する人」なのだから。モノをまとめるためのモノは、最低限のモノではないし、空間をスッキリさせたいがためにモノを増やすという本末転倒ではないだろうか。一緒に住み始めた頃、彼女はミニマルでミニマリスト的な生活空間を作りたいと意気込んでいた。だから、台所の下をスッキリさせたいと棚を4つ買いたい、と言ってきたときは、「モノを減らしたいのか、見た目を良くしたいのか」を質問した。できるだけ、説教くさくならないように寄り添って。

 今回はミニマリストをやり玉に挙げたが、自分はそれっぽい横文字が嫌いなんだと思う。スタイリッシュな印象ばかりが先行して、目的や本質を置き去りにされがちな抽象語が。被害者ぶっているが、便利だから自分も何となく使っている。絶対に使わないと偏屈になるでもなく、考えなしに使っちゃうでもなく、横文字と生きていければと思う。